2015年9月9日、ダイハツから新しく発売されたキャスト。
とても興味深かったので私と妻と子どもの3人で試乗してきました。
妻がダイハツ・ミラジーノに乗っていることもあり、試乗前から興味津々。
軽自動車もすっかり高級車化する中、キャストは一体どんな価値を出してくるのでしょうか。
キャストは3つのモデルが用意されています。
・Activa(アクティバ)
・Style(スタイル)
・Sports(スポーツ)※
※Sportsだけが10月末発売となります。
一車種を同時に3モデル投入するのは、あまり聞いたことがありません。
(普通であれば、販売数底入れのために時間を空けて別モデルを投入するのですが・・・)
キャストのチャームポイントは、丸目のヘッドライトとフロントグリル。
正直に言いますと、初めてCMを見たとき、”ホンダ・N-ONE”や”スズキ・ハスラー”を意識しているのだろうなと感じました。
N-ONEなんかはもう少し洗練させればもっといいクルマになるはず・・・
元々ミラジーノを持っていたダイハツはそこに再度目を向けたのでしょう。
パワープラントは昨年末発売のムーヴベースです。
発売から10ヶ月経過しましたので、ある程度品熟が進んだものだろうと推測されます。
目次
エクステリアデザイン
展示されていたのは、「Activa」というSUVタイプのものと、「Style」という乗用車タイプ。
キャストアクティバの外観
まずActivaを見ましたが、軽SUVとしては“中途半端さ”を感じました。
Styleと比較しても、シルエットも同様だったので、最初見たときに違いが一見ではわかりませんでした。
(バンパーデザイン、アンダーカバー、フォグライトとグリルの形状が違う)。
SUVと語るには物足りなさを感じます。
この点、スズキ・ハスラーのほうがよりSUVっぽさを感じます。
エンジンルームが大きいのでしょうね。ムーヴベースの「エンジン+ターボ+CVT」の組み合わせですから、ズングリしたフロントエクステリアとなっています。
リアデザインはこんな感じです。
フロントデザインと同様なライトの配置となっています。
ひとつ気になるのは、ウィンカーとバックランプの位置。
かなり下に配置されているため、後続車にとって視認性が悪い気がします。
特に車間距離か詰まっているときには、この位置で見えるのかなという不安を感じますね。
ライトは丸目の枠に対して8角形の形状となっています。
灯火の形状や配置がそのクルマの“顔”を決めると言われます。
この8角形の灯火形状は好みが分かれるところだと思いました。
タイヤが大きく、なんと15インチ!
ブレーキもドラム式ではなく、ディスク+キャリパーの組み合わせ。
足回りはスポーツ仕様となっていました。
キャストスタイルの外観
Styleも展示していました。
こっちがミラジーノの後継車ですね。
ジーノのデザインを踏襲したようなデザインとなっています。
フォグライトが外寄りに配置。
ジーノのチャームポイントである丸目フォグライトは今回採用されていませんでした。残念!
とはいえ、私と妻はジーノユーザということもあって、Styleの方が好みでした。
Styleのリアデザインです。Activaとは灯火類やデザインが異なっています。
エクステリアデザインのまとめ
エクステリアデザインについて総括すると、
- Activaはスポーティな印象、Styleはミラジーノを踏襲したデザイン
- ActivaはバンパーデザインやフォグライトによりSUVの雰囲気を演出しているが、SUVと語るには少々物足りなさを感じる
- エンジンルームが大きく、前方がズングリした形状
- 灯火類が独特なので、好みがはっきり分かれると思われる
- バックランプやリアウィンカーが下部に配置されているので、後続車の視認性が悪い
キャストの内装はどうなのか?
今回見たインテリアデザインはActivaとStyleともに同じものでした。
まずは、インパネまわり。
ハンドルはしっとりした質感があるものの、ホンダNシリーズCustomほどの質感は感じられませんでした。
ナビはオプションとなりますが、タッチパネル8インチ大画面対応可能です。
また、最近の車らしく、センターコンソールがありません。そのかわり、小物入れはダッシュボード下に配置されています。
次にインパネそのものの写真。
速度メータとタコメータがついており、ごくごく普通の印象。
逆にこういうシンプルなほうが見やすいと思いますね。
助手席ドリンクホルダーはよくある形状。
ちなみに100円パックのドリンク(四角いやつね)はやはり対応していませんでした。
あと、子どもがいる家庭だと哺乳瓶とか置きたいですよね。
高さがなければ置けそうですが、bettaとか高さがあるものだと少々難しいかもしれません。
助手席側の日よけにも鏡がついていました。
前方室内灯の後方に、メガネBOXが取り付けられています。
サングラスをよく使う人にとっては、結構便利な機能だと思います。
後部ドアにもドリンクホルダーと小物スペースが取り付けられています。
スピーカーも搭載されています。
標準シートは布製となります。
座り心地は若干固めの印象ですが、悪くない感じでした。
シート周りもいたってシンプルで、車体価格からすると、少々安っぽさが否めませんでした。
アームレストは収納ボックスにもなっています。
トランクルームには“床下収納”があり、例えば背の高い荷物を運ぶこともできます。
インテリアデザインのまとめ
インテリアデザインについて総括すると、
- ハンドルの質感は上々だが、ホンダNシリーズ上位版と比較すると負けている
- 計器類はシンプルで見やすい
- 収納箇所は分散しているものの、軽自動車の用途からして十分と感じられる
- シートは車体価格を考えると、安っぽさが否めない
- 全体的にみて、ありきたりなデザインをしており、若干物足りない印象を受けた
実際に試乗してみた ~ドライブフィーリング~
営業さんを引き連れて、実際に試乗!今回試乗したのは、Activaのターボ車です。
実際にナビを起動してみると、画面がでかくて見やすい!
この大きなナビはオプションで+18万円するらしいですが、自分が購入するならこのナビを選択するかもしれません。
加速性能は上々で、ターボが効くと一気に加速しました。
排気量は660ccですが、性能面では1000cc以上の車種ぐらいには感じられました。
ダウンサイジングターボが軽自動車にも適用され、最近の軽自動車は本当に高性能になったと感心させられました。
アクセルを踏んだままハンドルのPWRボタンを押すと強い加速感が得られます。
一方、ハンドル操作に関して、カーブ走行後のハンドル復元が速く感じられました。
パワーステアリング制御の味付けでしょうか。
でも、これはすぐに慣れるようなレベルのものでした。
ウィンカーレバーの部分です。
ウィンカーは従来のキャンセラータイプではなく、上下スイッチ式のものとなっています。
前照灯はオート機能搭載となっています。
アクセルペダルとブレーキペダル、および、パーキングブレーキペダルが配置。
パーキングブレーキペダルが配置されているので、フットレストは存在しません。
ペダルとフロアマットとは十分に離れていたので、フロアマットの引っかかりはなさそうです。
また、ペダル操作については全く違和感がありませんでした。
走行安定性もよく、車体としても非常にしっかりしたものに感じました。
ミラジーノを乗っていて感じる“エンジン吹き抜け感(=車速や加速感以上にエンジンが吹き上がること)”がほぼなく、よりダイレクトな乗り心地となっています。
これは、トランスミッションのトルクコンバータが技術進歩したのでしょうね。
ロックアップクラッチがガッツリ掴んでいる感じがしました。
次にアイドルストップ機能。
キャストは走行中アイドルストップを実施しています。
ブレーキによる減速時、9km/h以下になるとエンジンストップします。
平均的で十分なアイドルストップ機能を持っています。
一方ライバルのスズキは13km/h以下でアイドルストップに入るので、若干ダイハツ車の方は開始速度が低くなっています。
正直、たった減速時の4km/h差なのであまり燃費に大きな差は生じないと思います。
世間的にはアイドルストップを嫌う方々もいるので、IDLE OFFボタンも備えられています。
この車でドリフト走行する人は少ないでしょうが、VSA OFFボタンがあります。
余談ですが、スキッド発進(タイヤを滑らしながら発進すること)はCVTが非常に苦手とするところです。要注意!
今回の試乗では試していませんが、衝突安全システムが搭載されています。
自動ブレーキ機能も搭載され、5km/hから20km/hなら自動停止できるというもの。
渋滞とかで、『前方車と衝突』、といった事故は防止できそうですね。
ドライブフィーリングに関して気になった点がいくつかありました。
1.クルーズ中アクセルオフ時の減速感
40km/hでクルーズ走行中にアクセルOFFすると、毎回強い減速感がありました。
たぶん、アクセルOFF時にトランスミッションのレシオがLow側へ動く制御が入っているのでしょう。
しかし、若干Lowに戻りすぎている感じが否めず、制御セッティングがイマイチに感じました。
2.アクセル再踏み込み時のショック
エンジンが再び駆動力を出したときに“ドン”というショックがありました。
こちらはおそらく、フューエルカット制御(※)が復帰したタイミングで起こっていると思われます。
※アクセルオフなどの非加速時、燃料を噴射しない制御
アクセルオフ時はLowに戻りすぎ、さらにエンジンが駆動力を出すので、その慣性トルクがタイヤに伝わるようです。
ドライブフィーリングのまとめ
ドライブフィーリングについて総括すると、
・ナビは8インチメモリーナビがオススメ
・ターボ車は過給機による力強い走り
・アクセルペダルOFF時は減速感が強い
・燃料カット制御復帰時に若干のショックあり
・アイドルストップは9km/h以下から開始
・自動停止は5km/h~20km/hで可能
ダイハツキャストの価格はいくら?
価格はターボ有無、2WD/4WDで変わってきますが、モデル別の価格帯は
・Style:122.0万円~164.1万円
・Activa:122.0万円~164.7万円
※Sportsは2015年10月末発売のため、未公表。
最上級グレードで乗り出し200万円を切るくらいとなるので、このグレードとしては比較的安めだと感じました。
走行性能もいいので、デザインが気に入ればお買い得なクルマだと思います。
ちなみに値引きですが価格交渉してみましたが、発売直後ともあって3万円程度の値引きが限度のようです。
価格に関しては年末商戦で狙い目だと営業さんに教えていただきました。
営業さんとの会話から
試乗から値段の見積もりなど、色々とお世話になりました。
発売直後ともあって、いまは値引き幅が小さいようでした(3万円くらい)。
しかし、年末商戦は結構狙い時だと話されていました。
試乗の来客数を聞いてみたのですが、客足は鈍くないみたいですね。
(実際、私たちの後にすぐ別のお客さんが試乗されていました)
納車は1ヶ月から1ヶ月半くらいが目安と仰られていました。
また、車のカラーリングについても質問してみました。
ダイハツの赤色や青色は、特殊なガラスコーティングやパール色を分散させているので色褪せに強いとのこと。
今回のキャストのイメージカラーは“赤”や“青”。
赤や青は一般的に色褪せしやすい色なのですが、この点安心できます。
試乗終えてのキャストの評価
個人的な感想となりますが、まずエクステリアデザインは没個性的でコンセプトも中途半端さが否めません。
特に、ActivaはSUVというには物足りなさを感じます。
Styleについても、ミラジーノの”良さ”をうまく引き継げていないように思えます。
インテリアデザインについてもライバル車のN-ONEを圧倒するような質感は感じられず、もう少しがんばって欲しいところ。
ただ、このグレードとしては良心的な価格にも思えるので、デザインを良いと感じれば購入をオススメできる車だと思います。
操縦安定性や走りは良かったと思います。
自分が購入するとしたら、ターボ車だなと感じました。
660ccに感じられない力強さ、ダイレクト感がありましたので、走りのいいクルマだと思います。
個人的には、運転のしやすいクルマで扱いやすいなというのが感想です。
小回りも利くし、妻も非常に気に入っていました。
試乗時は発売直後なのでそれほど値引きに積極的ではなさそうでしたが、営業さんが言うには年末商戦が狙い時だということでした。
興味がある方は秋のうちに試乗して、年末までにご購入を検討されるのが良いと思います。