安い車両価格とトップクラスの低燃費で、コストパフォーマンス抜群と言われる「スズキ アルト」。
しかし、それを鵜呑みにして買った挙げ句「安かろう悪かろう」では困ります。
そこで、口コミサイトに寄せられた購入者・試乗者の評価を徹底的に調査しました。
気になる「AGS」についても、しっかり紹介します。
口コミサイトでフォーカスされているポイント別に、評価を見ていきましょう。
目次
アルトは見た目がダサい?外観の評価
参考:価格.com
口コミサイトのコメントを集計したところ、外観については約60%が好印象。
しかし、外観は人の好みによって評価が大きく変わるものです。
皆さん具体的にどういうポイントを「良い」、「悪い」と感じているのでしょうか。
良い評価
・レトロな感じがダサカワイイ、懐かしさを感じる
・個性的で独特な外観が良い、特にライト周りが印象的
・デザインがシンプルで良い、アレンジもしやすい
悪い評価
・古臭く垢抜けないデザインが嫌い
・正面から見るとかっこ悪い
・デザインが単調でつまらない、安っぽい
確かに!
賛否の評価が分かれるポイントは、アルトの特徴的な見た目にあります。
レトロかつシンプルなデザインは賛否両論
発売から40年、8代目アルトのコンセプトは「原点回帰」と言われています。
左は8代目の新型アルト、右が2代目アルト。
どちらも良く言えばムダなくシンプル、悪く言えば古臭く面白みのないデザインです。
主張の強い角張ったヘッドランプも、どことなく似た印象を受けますね。
「外観以外は気に入っているけど…見た目なんとかならない?」という人向けに、改善方法を紹介しましょう。
外観オプションパーツでアレンジ!
引用:スズキ公式HP
「アルトは見た目がシンプルだから、外観オプションが映える」という意見がありました。
シンプルすぎる外観にもの足りなさを感じる人は、自分なりのアレンジを加えてみましょう。
特にヘッドランプのデザインを活かした「めがねガーニッシュ」はおすすめ!
アルトのオプションについては次の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にして下さい。
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ナンバープレートを白にして安っぽさを改善
口コミには「ナンバープレートを白色にしたら安っぽさが軽減した」というコメントがありました。
「普通車=白」というイメージを上手く利用した改善方法ですね。
左は通常のナンバープレート、右が白色プレートに変更した場合です。
いえいえ、2020年9月30までなら「オリンピック特別仕様ナンバープレート」を使って白色にできるのです。
軽自動車検査協会に取得申請するか、ディーラーや整備工場へ問い合わせてみましょう。
料金は申請地域によって違いますが約7,000円程度。
ちょっとした外観オプションを付けるのと大差ない予算で変更できます。
外観の総評
前時代的なデザインを「逆に新しい」と感じるか「古臭い」と感じるか、が外観の評価ポイントになります。
自分の好みにフィットするかよく考えて、選びましょう。
高級感を求めてはだめ!内装の評価
続いて、内装の評価を見ていきましょう。
良い評価
・質素でシンプル、それなりに満足
・ちょっとした外出や買い物には困らない収納が揃っているので満足
・窮屈さを感じない(身長:178cm)、後部座席の足元も広い
・運転席のホールド感があって良い
悪い評価
・インパネが安っぽく全体的にチープな印象
・収納が少ない
・天井が低くて運転すると窮屈(身長:184cm)
・運転席が合わない
・後部座席が商用車レベルの作り
低価格車のため、さすがに高級感は感じられないようです。
車内装備は必要最低限
アルトの内装は至ってシンプルで、余計な装備はありません。
引用:スズキ公式HP
インパネはスピードメーターがメイン、隣に燃料、燃費・走行距離などの走行情報がデジタル表示されます。
センターにはオーディオとエアコン、シフトレバーがこじんまりと集約されています。
いかにもプラスチックな質感からは、高級感は感じられません。
続いて、収納も必要最低限。
引用:スズキ公式HP
・オーディオ下の小物入れ
・インパネ中央下部の小物入れ
・ドリンクホルダー(前席用2本、後部座席用2本)
・助手席の荷物フック
・後部座席用の荷物フック
・ドア内側の書類入れ
以上…、とても簡素ですね。
沢山の荷物を積んで、レジャーや旅行をするには不向きです。
アルトの車内は窮屈?
小柄なアルトですが、「見た目に反して車内の窮屈さは無い」という口コミが多く見られます。
アルトの室内寸法をグレード別にまとめ、参考に「トヨタ プリウス」と比較してみました。
グレード | 室内長 | 車内幅 | 室内高 |
---|---|---|---|
アルト X、S | 2,040mm | 1,255mm | 1,215mm |
アルト L、F | 1,985mm | ||
[参考] トヨタ プリウス |
2,110mm | 1,490mm | 1,195mm |
表に記載した数値の他にも、前席の左右乗員間隔は620mm。
前モデルから比べて85mm広い900mmもの前後乗員間隔が確保されています。
大人4人が乗り込んでも、窮屈さを感じないレベルの車内空間ですね。
確かに高身長の人は、さすがに窮屈に感じてしまうようです。
身長が180cmよりも高い人は、実際に座って確かめてみることをおすすめします。
シートは賛否が分かれる!
内装に対する評価のうち、意見が分かれているのが運転席です。
シートの仕様を見るとよく理由がよくわかります。
ポイント
・ヘッドレストとシートが一体型(着脱不可)
・ヘッドレストが前方に傾斜している(角度は調整できない)
引用:スズキ公式HP
それだけではありません。
ヘッドレストが前傾しているため、人によっては常に頭を前に押されるような姿勢になってしまいます。
座高や手足の長さ、頭の大きさなどによって「どう調整してもシートが合わない人がいる」と言うわけです。
心配な人は実際に座って、ストレスのない運転姿勢が得られるか確認してみましょう。
なおグレードX、Sには「シートリフター」が装備されており、着座高を調整できます。
さらにXには、ハンドルの角度を調整できる「チルトステアリング」が装備されています。
引用:スズキ公式HP
まるで商用車?グレードL、Fの後部座席に注意!
引用:スズキ公式HP(左:グレードX、右:グレードL)
口コミには、後部座席について「商用車レベルだ」との辛辣なコメントが見られました。
注意したいのはアルトのグレードの内、LとF。
後部座席のヘッドレストが無いため座り心地は悪く、見方によっては確かに商用車のようですね。
「後部座席にも人を乗せる機会が多い」という場合は、グレードXかSをおすすめします。
内装の総評
アルトの内装は必要最低限なので、高級感や収納性を求める人には向きません。
逆に「車は移動手段としてわりきる」という人なら、十分満足できる仕上がりです。
注意したいのは自分の体格との相性。
試乗して「運転席が窮屈じゃないか」、「運転姿勢が合わせられるか」をしっかり確認しましょう。
走りはパワフル!でもギクシャク?エンジン性能・走行性能の評価
エンジン性能や走行性能は、車の良否を決めるにあたって欠かせない評価ポイントです。
アルトはどうなのか、口コミサイトのコメントを集計してみました。
参考:価格.com
本当に大丈夫でしょうか。
確かに好評価の割合は多いですが、自分が少数派の「悪い」になる可能性もあるのです。
主要なコメントを個別に見ていきましょう。
良い評価
・軽自動車と思えないパワフルな走り、坂道や高速でも十分な加速
・エンジンが静か
・地に足のついた走行感
悪い評価
・低速走行時やアクセルオン・オフ時に、走りがギクシャクする
・減速したとき、停止したくないのにアイドリングストップが効いて怖い
・乗り心地がゴツゴツ、悪路を走ると凹凸に過剰に反応する
では、それぞれの評価を解説していきましょう。
アルトのエンジンはうるさい?軽自動車のイメージをくつがえす加速!
好評価の中で最も多く見られたコメントは「加速の良さ」です。
アルトには、他のスズキ軽自動車と同じ「R60A」というエンジンが搭載されています。
「R60A」は低速トルク時の推進力が優れたエンジンで、パワフルな走りが持ち味。
エンジンの「トルク」を自転車に例えると「ペダルを踏み込む力」。
変速式自転車で走り出すときのギアは、踏み込む力が要らない代わりに少しか進みませんよね。
「低速トルク時の推進力に優れた」は、「低速時に少ない力でも推進力がある」と言い換えられます。
しかも他のスズキ軽自動車が800~1,000kgなのに対して、アルトは650kgという軽量ボディー。
エンジンの能力を最大限発揮できます。
実際にアルトで高速を走ってみましたが、法定速度の時速100kmまでストレスなく加速しました。
エンジンをふかさなくても加速が良いため、「エンジン音が静か」というコメントも多数。
軽自動車のイメージが変わりますね。
地に足のついた走り!走行安定性は良好
「加速の良さ」に次いで多かった好評価が「走行安定性」。
スズキ公式HPには裏付けとなる情報が見られないため、コメントを少し詳しく紹介していきます。
・走行時の横揺れが少なく、運転がかなりうまくなったように思える
・高速でも車体が不安定になる感じはなかった
・コーナーを曲がるときにすごく安定している
・スポーツカーみたいな走行安定性を感じられる
引用:価格.com
高速走行からコーナリングまで、様々なシチュエーションで安定走行ができています。
しっかり路面を捉える代わりに、振動も拾いやすいということですね。
とは言え、振動が気になるのは悪路での話。
通常の舗装された道路であればそこまで気にならないレベルです。
低速走行時のギクシャク感が残念!解決策は?
低速時の走行性に対してはマイナス評価が複数見られます。
悪い評価ポイントを意識しつつ、実際に乗って確認してみました(試乗車:L)。
すると走り出しや減速で、時速20~30km時に「グンッ」と気になる揺れが…。
しばらく乗っていると、症状が軽くなる傾向がみられました。
乗る際には暖機してエンジンを温めておくのが良いでしょう。
アルトのアイドリングストップは時速13km以下になると作動します。
こればかりは制御システムの仕様なので、なんともなりません。
右左折するときの時速は概ね10km程度。
「交差点の中で一旦エンジンが止まる」という状況に、怖さを感じる人もいるでしょう。
当然ブレーキを解除すればエンジンはすぐに再始動するため、立ち往生することはありません。
しかし、「どうしても嫌だ、怖い」という人は解除できます。
引用:スズキ公式HP
アイドリングストップの解除は簡単。
ハンドルの右下にある「A(アイドリングストップマーク)」のスイッチでオン・オフが可能です。
エンジン性能・走行性能の総評
アルトはパワフルなエンジンと安定した走行性能。
自動車本来の目的「走る」というポイントでは、十分満足できるクオリティーです。
試乗するときは、低速走行時のデメリットを自分がどう感じるか意識してみましょう。
燃費の評価
アルトはカタログ燃費で軽自動車No.1の37km/L。
大手口コミサイトによれば、実燃費は19.57km/Lです。(引用:みんカラ)
購入者から寄せられたコメントを見ても、文句なしの好評価ですね。
・平均燃費が26L/Kmで大満足です
・街乗りでもリッター18km、凄い!
・冬場にエアコン使って約23~24㎞/L。4月~5月にエアコンなしで27~27.5㎞/L
・流れのいい郊外の道で出かけた時は30㎞/L超え
引用:価格.com
アルトの燃費については、こちらの記事でも詳しく紹介しているので参考にして下さい。
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CVTの感覚で乗ると痛い目に…?AGSの評価
アルトの評価で気になるのが、グレードFのみに採用されているAGSです。
そもそもAGSとは…
MTとATの利点を両立させたAGS搭載車では、クラッチとシフトの操作をコンピューターが最適制御して低燃費に貢献します。高速走行時には、ATに比べエンジン回転数を低く抑えるため静粛性も確保。マニュアルモードを選択すれば、MTのようなキビキビした走りも思いのままです。さらにクリープ機能やPレンジの採用で、AT、CVTと同等の操作性を実現。AT限定免許でもスムーズな運転が楽しめます。(引用:スズキ公式HP)
簡単にまとめると…
ポイント
・マニュアル車の面倒なシフトチェンジを、コンピューターが自動でやってくれる
・ベースはMT車、ただしクラッチ操作が無いのでAT車限定免許で乗れる
・スズキのAGSは、マニュアルモードにすると手動操作でシフトチェンジが可能(シフトダウンは自動)
公式HPの文面を一見すると良いことづくめのAGSですが、実際の評価はどうなのでしょうか。
良い評価
・MT車的なフィーリングが気軽に味わえて最高(マニュアルモード)
・車好きな人なら絶対楽しい、ドライブが好きな方には特にお勧め(マニュアルモード)
・運転が楽しく、久しく感じた事の無い運転する喜びを感じる(マニュアルモード)
悪い評価
・ヘタクソな人がMT車を運転しているような感覚(自動モード)
・変速のタイミングで起こるシフトショックが嫌だ(自動モード)
・自動変速システムは癖があり、慣れないと同乗者(子供)が車酔いする(自動モード)
・運転には慣れが必要、CVT(無段変速)しか乗った事が無い人は、難しい(マニュアルモード時)
AGSの評価
AGSの運転操作はAT車と同じですが、ベース車両はMT車…。
コンピューターで最適な制御をしているものの、シフトチェンジ時の違和感に対する評価が辛口です。
逆にマニュアルモードに対しては、良い評価が多数見られました。
「AT車限定免許だけどもっと運転を楽しみたい」という人には向いています。
アルトはお値段以上?価格の評価
ここまでの評価を踏まえて、アルトは買う価値のある車なのでしょうか。
良い評価
・軽自動車でも200万超えもある中で、この基本性能なら納得
・これだけの装備で約100万円というのは驚愕
・普通車と遜色ない動力性能で燃費良好、維持費も安く値段以上の価値は十分
悪い評価
・各グレードの装備に対して、価格設定は違和感を感じる
一方で各グレードの価格設定に対する違和感は、複数の人からコメントされています。
各グレードの標準装備はしっかり確認したうえで、納得して購入しましょう。
グレードの標準装備はこちらから→スズキアルト公式HP価格・グレード
まとめ
あらためてアルトの評価結果を振り返ってみましょう。
・[外観]全体的に好評価、最終的には自分の好みで選ぼう
・[内装]は必要最低限、ゴージャスさや収納力を求めるのはNG
・[エンジン・走行性能]パワフルなエンジンは文句なし、舗装された道路なら走行安定性もバッチリ
・[燃費]軽自動車トップクラスの燃費性能
・[価格]基本性能に対する価格は「満足」が大多数、
・[AGS]運転をもっと楽しみたい人にはおすすめ、CVTの感覚を求める人にはNG
前述した通り、新型アルトのコンセプトは「原点回帰」。
本来、車に求められる走行性能や燃費など、大切な要素は抑えた仕上がりになっています。
試乗する際は、ぜひ今回ご紹介した評価ポイントを意識してみて下さいね。